インドネシアの道路事情と今後の経済発展
インドネシアの道路未整備による経済鈍化
インドネシア経済の成長と発展は、原油・パーム油・天然ガス・材木と食物といった未開発の天然資源が豊富な為、経済界で投資のホットな話題となりました。その上、インドネシアの人口は2012年現在2億4,800万人と推定されており、2020年迄に2億5,400万人に達すると言われています。インドネシアは人口が今後も伸び、天然資源も自ら賄える市場です。こうした事情から今後同国の発展性が買われ、多くの外国人投資家に注目されて来ました。
インドネシアの交通渋滞
インドネシアは力強い経済成長をしてきましたが、同国がインフラシステムを適切に計画し経済を拡大させない限り、経済成長を支えていくのは難しくなります。インドネシアはインフラ、特に輸送インフラの建設により多くの力を注がねばなりません。公共事業省による調査に拠れば、自動車の売上高が今のままで増え続ければ、ジャカルタの交通は2014年までに麻痺する可能性が有ります。ジャカルタの現在の道路は全長7,208キロメートルありますが、実は12,000キロメートルの道路が必要であることが最近の調査で明らかになりました。2012年のイギリス国営放送BBCの調べで、ジャカルタが交通渋滞で世界最悪の都市に選ばれた理由が、インドネシアの自動車が近年増え続けていることであることが分かっています。インドネシア政府の統計に拠れば、全てのタイプの自動車の年間増加率が2008年から2011年まで2桁の増加率であったことを政府の統計で判明しています。
全国的に道路開発のスピードが車両の増加速度より遅れています。また、最近の道路整備は遅々として進みません。インドネシア統計中央局によると、国道(アスファルトと非アスファルトを合わせて)の全長の伸び率は最近わずかに2%から5%に増加しました。
インフラの世界ランキング ( 国際競争力報告2011年)
国際競争力報告に拠れば、機能的且つ広範なインフラが経済成長を強化に基本的な役割を演じます。多種多様なインフラを構築し、その品質が保たれていれば民間部門の生産性及び投資効率を上げるのに重要な役割を果たします。また道路、鉄道、港、航空運輸、エネルギー供給と遠隔地通信といったインフラは特に重要です。インドネシアのインフラは国際競争力報告 (2011年)で世界第82位にランクされています。隣国ではシンガポールが第5位、マレーシアは第30位、タイは第35位でインドネシアは先進ASEAN諸国より相当遅れており、中国の第50位及びブラジルの第62位の後塵を拝しています。インドネシアは他のアジアの経済発展国のように高度経済成長、迅速な都市化、中流階級の増加、市場開放経済を経験しています。こうした傾向からインフラの需要が増大するので、すでに在るインフラを酷使する結果となります。そしてその既存インフラが未整備であることがボトルネックとなっています。
マスタープランが官民連携の機会に
2011年5月にインドネシア経済発展加速拡大計画のマスタープランが発表されました。インドネシア経済発展加速拡大計画は、インドネシアの経済発展に金融支援の鍵となる一つの方法として有名な官民連携モデルを使うという中央政府の意向が繰り返し語られています。官民連携がインドネシアでますます重要な役割を果たしそうです。インドネシア経済発展加速拡大計画の79のインフラプロジェクトの中、32は官民連携プロジェクトとして発表されています。そして、これにはインドネシア経済発展加速拡大計画と関係の無い他のプロジェクトは含んでいません。また、必要も無いプロジェクトが民間部門によって提案されています。さらにまた、インドネシア経済発展加速拡大計画遂行の為、政府はインフラ融資に民間が参加することを積極的に奨励しています。インドネシアに進出すること自体が挑戦です。投資家が遭遇するであろういくつかの困難な事項(例えば遅々とした官僚機構の対応、激しい競争及び未整備な法体系)は未だ有ります。たとえ政府が官僚機構と監査機関システムを改革しようとしていたとしても、より透明でより迅速な事務処理を求めて外国人投資家がインドネシアに進出することは難しいでしょう。インドネシアは非常に競争の激しい市場でもあり、インドネシアのプレーヤーに加えてシンガポール、マレーシア、日本や中国からの多くの外国プレーヤーが既に進出しています。また、法制度の不備に関して言えば法廷制度の腐敗により話し合いによる解決のメカニズムは効果が有りません。そしてビジネス上の紛争はもはや行政・民事上の問題というよりもむしろ犯罪に近いものがあります。
有料道路プロジェクト
2013年4月に地元紙Jakartapostが報道したように、国の30以上の有料道路プロジェクトは土地取得遅延のために遅れています。そして政府の経済成長加速プログラムが発表され、道路整備が遅々として進みません。政府はプロジェクト用の土地のオーナー(特に地元の人々)に対して有料道路プロジェクトが国家の経済に重要な役割を果たす事を訴えることで土地の取得に熱心に取り組み続けています。インドネシアは未だ経済発展の初期の段階にあります。政治情勢が進化するに連れ、現在のインフラ整備に懸命に取り組むことが今後の経済成長の起点となります。